専従者としてがんばっているのに、家計のためにパートにも出たい。でも、専従者給与が認められなくなったり、税金が増えたりしないか不安…。
専従者がパートに出ると、税務署にバレるリスクがあるって本当?
専従者給与は節税になるから使いたいけど、パート収入も欲しい。そんなときに知っておくべき、専従者とパートの掛け持ちのリスクと正しい方法があります。
専従者給与の否認、思わぬ増税、社会保険料の増加など、専従者のパート掛け持ちには落とし穴がいっぱい。でも、ルールを守れば、うまく両立できる方法もあるんです。
この記事では、専従者とパートを掛け持ちする際の注意点から、バレやすいケース、逆に認められるケースまで、詳しく解説します。税理士も教えてくれない、専従者のパート掛け持ちの正解が見つかるかもしれません。
専従者がパートに出る場合の注意点
① 専従者給与が否認される可能性
専従者がパートに出る場合に最も注意しなければならないのが、専従者給与が税務署に否認されてしまう可能性があるということです。専従者給与は、専従者がその年を通じて6か月を超える期間、または従事可能な期間の2分の1を超える期間、青色申告者の営む事業に専ら従事している場合にのみ認められるため、パートに出てしまうと「専ら従事」の要件を満たさなくなり、否認されるリスクが高まります。
「専ら従事」とは、他の仕事を持たず、主たる業務として事業主の事業に従事することを指します。専従者給与が否認されると、事業主が経費として計上していた給与額が認められなくなるため、事業主の所得が増加し、結果的に税金の負担が増えてしまいます。家族の収入を増やすためにパートに出たにもかかわらず、かえって家計を圧迫する事態になりかねません。
ただし、後述するように就業時間外のパート勤務など、一定の条件を満たせば専従者給与が認められるケースもあります。専従者とパートの掛け持ちを検討する際は、税理士などの専門家に相談し、適切な対策を講じることが賢明でしょう。
② 税金への影響
専従者がパートに出ることで、専従者自身の税金にも影響が出る可能性があります。所得税と住民税は、年間で受け取った給与や報酬などの所得を合算して税額を算出するため、専従者とパートの掛け持ちにより収入が増えれば、当然税金の額も上がることになります。
ただし、所得税については年間収入が103万円以下であれば、控除額が年収を上回るため税金は発生しません。専従者とパートの給与を合わせた年収が、この金額を超えるかどうかが税金への影響を左右するポイントになります。
住民税の非課税基準は自治体によって異なる場合があります。一般的には、年間収入が93万円以下(一部自治体では97万円以下)で非課税とされていますが、詳細は各自治体の規定を確認してください。専従者がパートに出る際は、予め年収の見込みを立て、控除額とも照らし合わせながら、税金への影響を試算しておくことが大切です。思わぬ税金の増加により、手取り額が想定より少なくなってしまう事態を避けるためにも、入念な事前準備が欠かせません。
③ 社会保険の扶養から外れるリスク
専従者がパートに出ると、社会保険の扶養から外れてしまうリスクもあります。扶養に入れるかどうかは、扶養判定時点での年間の見込み収入で決まるため、専従者とパートの給与を合算した額が基準を超えれば、扶養から外れる可能性が高くなるのです。
扶養から外れた場合、これまで扶養者に負担してもらっていた社会保険料を個別に納めることになります。パート先の社会保険に加入するか、国民健康保険に加入するかは条件次第ですが、いずれにせよ新たな保険料の支払いが家計の負担となることは避けられません。
社会保険の扶養に入れる年収の目安は、一般的に年間130万円未満(60歳以上や一定の障害者は180万円未満)とされていますが、健康保険組合によっては独自の基準を設けている場合があります。また、収入基準以外にも、労働時間や労働日数などの要件が考慮されることがあります。専従者がパートに出る際は、加入する健康保険組合の規定を確認し、年収の見込みを立てることが賢明です。保険料の負担増を最小限に抑えるための工夫も、専従者とパートの掛け持ちを検討する上では欠かせないポイントでしょう。
専従者給与とパートの掛け持ちはバレるのか
① 確定申告での発覚
専従者とパートの掛け持ちが税務署にバレる可能性の一つが、確定申告の際です。2ヶ所以上から給与を受け取った場合、正しい所得税額を納めるために確定申告が必要なケースがあり、その際に専従者とパートの両方の給与を申告しなければなりません。
もし確定申告で掛け持ちがバレてしまうと、個人事業主が経費として計上していた専従者給与が否認され、追徴課税や加算税などのペナルティを受けるリスクがあります。また、バレないように所得を隠すなどの不正を行えば、より重大なペナルティを課せられる可能性も出てきます。
確定申告は正直に行うことが大前提ですが、専従者とパートの掛け持ちについては事前に税理士などの専門家に相談し、適切な申告方法を確認しておくことが賢明でしょう。思わぬところでバレてしまい、取り返しのつかない事態になることを避けるためにも、慎重な対応が求められます。
② 税務署へのタレコミ
専従者とパートの掛け持ちがバレるもう一つのケースが、知人などからの税務署へのタレコミです。専従者の副業については、できるだけ他人に知られないようにするのが賢明ですが、一度でも口をすべらせてしまえば、噂が広まるリスクは十分にあります。
仮に事実無根の噂であっても、それを聞きつけた税務署が調査に乗り出してくる可能性は否定できません。タレコミをきっかけに専従者給与の否認や追徴課税などのペナルティを受けてしまっては、本末転倒も甚だしいでしょう。
専従者とパートの掛け持ちをする際は、秘密を守ることの重要性を家族で共有し、むやみに他人に明かさないよう徹底することが大切です。万が一タレコミがあった場合に備え、普段から帳簿や領収書などの関係書類を整理し、いつ税務調査が入っても対応できる体制を整えておくことも忘れてはなりません。
③ SNSでの情報漏洩
専従者とパートの掛け持ちがバレる意外な経路の一つが、SNSでの情報の漏洩です。昨今、国税庁や税務署がSNSの投稿を監視し、所得隠しがないかチェックしているというニュースを耳にすることがありますが、これは決して杞憂ではありません。
SNSでは、発信者の暮らしぶりや収入の状況がある程度把握できるため、税務当局が注目するのも無理はありません。仮に専従者がパート先の愚痴をSNSに書き込んだりすれば、最悪の場合、勤務先や税務署にバレてしまう恐れすらあるのです。
専従者がSNSを利用している場合は、収入に関する投稿や、生活感のある内容の発信は可能な限り控えるよう心がけましょう。写真や動画の背景に、高額商品が写り込んでいないかなども、注意深く確認する必要があります。SNSでの不用意な情報漏洩が、思わぬ税務調査のきっかけとならないよう、細心の注意を払うことが肝要です。
専従者が他で働ける条件
① 専従者給与の要件
専従者給与が税務上認められるためには、いくつかの要件を満たす必要があります。具体的には、事業主と生計を一にする配偶者または15歳以上の親族であること、そして1年を通じて6か月を超える期間、または従事可能な期間の2分の1を超える期間、青色申告者の営む事業に専ら従事していることが求められます。
ここで重要なのが、「青色申告者の営む事業に専ら従事」という文言です。「専ら」という言葉が示す通り、専従者は原則として事業主の元で働くことがメインであり、他の仕事を持たず、主たる業務として事業主の事業に従事することが求められるのです。
つまり、専従者が他で働くことは、専従者給与の要件を満たさなくなるリスクがあるということです。仮に税務署の判断で専従者給与が否認されれば、事業主の所得税や住民税の負担が増えることにもなりかねません。専従者が他で働く際は、この点を十分に理解し、慎重に検討することが求められます。
② 就業時間外での勤務
とはいえ、専従者が一切他で働けないわけではありません。税務署の判断次第ではありますが、就業時間外のパート勤務であれば、事業の業務に支障をきたさないと判断され、専従者給与が認められるケースもあるのです。
専従者がパート勤務を行う場合、事業主の事業に支障をきたさない範囲で、就業時間外に副業として行うことが考えられます。例えば、専従者が事業主の元で働く就業時間を明確に定め、その時間外に短時間のパートに従事するような場合です。この場合、専従者としての就業時間を明確に定め、退勤時間を記録に残すなど、就業実態を明確にしておけば、税務署に対して専従者としての要件を満たしていることを説明できる可能性があります。
ただし、パートの就業時間や給与額が、専従者としての勤務を上回るようであれば、税務署から指摘を受けるリスクが高まります。あくまで事業主の元での仕事がメインであり、パートはそれを補完する程度である必要があるのです。専従者とパートの掛け持ちを検討する際は、このバランスを慎重に見極めることが肝要だと言えます。
専従者を辞めてパートを選ぶべきケース
① 事業主の所得が赤字の場合
専従者給与は全額を経費として計上できるため、事業主の節税対策として非常に有効です。しかし、仮に事業主の所得が赤字になってしまった場合、そもそも税金が発生しないため、専従者給与を支払うメリットは薄れてしまいます。
むしろ、このような状況では、専従者を辞めてパートに専念してもらった方が賢明かもしれません。パートの場合、1日の勤務時間は原則8時間までと定められており、4時間程度の短時間勤務の求人も数多くあります。
専従者よりも柔軟な働き方ができるパートの方が、家事や育児との両立もしやすいでしょう。事業主の収入が安定するまでは、専従者を一時的に休止し、パート収入で家計を支えるという選択肢も、検討に値すると言えます。
② 専従者給与が年間38万円未満の場合
専従者の給与が年間38万円未満の場合、パートを選んで扶養に入ってもらった方が、節税のメリットが大きくなります。専従者は税務上の扶養に入ることができないため、給与額が少額だと、事業主にとってのメリットが限定的だからです。
一方、パートであれば、扶養の条件を満たせば、扶養者は38万円の「配偶者控除」を受けられます。年収38万円未満であれば、専従者給与で経費計上するよりも、配偶者控除の方が所得控除額が大きくなり、節税効果が高まるのです。
もちろん、扶養に入るためには、パートの年収を一定額以下に抑える必要があります。時給や勤務時間、日数など、様々な条件を総合的に判断し、メリットが最大になる働き方を選択することが求められるでしょう。専従者給与とパートのどちらを選ぶかは、単純に税金面だけでなく、ライフスタイルに与える影響も考慮する必要があります。
③ パートに専念したい場合
専従者を辞めてパートに専念したいというケースも、十分にあり得るでしょう。例えば、子育てとの両立を優先したい、あるいは自分の時間をより多く持ちたいといった理由です。パートであれば、勤務時間や日数を柔軟に選べるため、自分のペースで働きやすいのも魅力と言えます。
ただし、専従者を辞める際のタイミングには注意が必要です。仮に年の途中で辞めてしまうと、専従者としての勤務期間が6ヶ月に満たず、専従者給与が否認されるリスクがあるからです。パートに専念するにしても、年末までは専従者としてある程度の時間は勤務し、要件を満たしておくことが賢明でしょう。
また、専従者を辞める前に、パートの年収見込みを立て、扶養に入れるかどうかも確認しておく必要があります。年収が一定額を超えると、扶養に入れなくなるため、結果的に税負担が増えてしまう可能性があるからです。
パートの賃金と勤務条件、そして扶養のルールを総合的に判断し、最もメリットが大きくなる選択をすることが求められます。専従者を辞めてパートに移行するのは、一大決心が必要な決定ですが、自身のライフスタイルや家計状況をしっかりと見据えて、慎重に検討していくことが肝要でしょう。
専従者給与に関する悩みは専門家へ相談を
専従者給与をめぐる税務は、専門的で複雑な部分も多く、本人だけで判断するのは難しいものです。もし専従者とパートの掛け持ちを検討しているのであれば、事前に税理士など、税務のプロに相談することを強くおすすめします。
プロの助言を受ければ、専従者給与が適用される条件や、パートとの掛け持ちが認められるケースなどを、より具体的に理解することができるでしょう。その上で、自身の状況を踏まえながら、最適な選択を見極めていくことが可能になります。
また、万が一税務署から指摘を受けるようなことがあっても、プロに相談していれば、適切な対処方法をアドバイスしてもらえます。追徴課税などのペナルティを回避し、安心して事業に専念できるよう、日頃からしっかりとサポート体制を整えておくことが大切です。
専従者給与を活用するか、パートに切り替えるかは、事業主にとって重大な決定事項です。節税メリットを最大化しつつ、家族のライフスタイルとも調和するベストな選択を見つけるためにも、ぜひ専門家の知恵を借りながら、慎重に検討していただければと思います。
専従者給与とパートの掛け持ちのまとめ
専従者給与は、事業主にとっても専従者にとってもメリットのある制度です。でも、専従者がパートに出ると、税務署にバレるリスクがあるのも事実。専従者給与が認められなくなったり、思わぬ増税になったりしないように、ルールをしっかり理解することが大切です。
パートとの掛け持ちが認められるケースもありますが、「専ら従事」の要件を満たすことが条件。就業時間や勤務実態をしっかり記録に残すなど、税務署への説明ができるよう備えましょう。
時と場合によっては、専従者を辞めてパートに専念する選択肢も検討に値します。年収の見込みや扶養のルールをよく確認して、家計にとって最善の方法を選びましょう。
| 項目 | ポイント |
|---|---|
| 専従者給与が否認されるリスク | 「専ら従事」の要件を満たさないと、専従者給与が否認される可能性あり |
| 税金への影響 | 専従者とパートの合計年収によって、所得税や住民税が増える可能性あり |
| 社会保険の扶養から外れるリスク | 年収が一定額を超えると、扶養から外れて社会保険料の負担が増える |
| バレやすいケース | 確定申告、税務署へのタレコミ、SNSでの情報漏洩など |
| 掛け持ちが認められる条件 | 就業時間外のパート、「専ら従事」の要件を満たす働き方など |
| パートに専念すべきケース | 事業主の所得が赤字、専従者給与が年間38万円未満、ライフスタイルの優先など |
迷ったときは、税理士などの専門家に相談するのがおすすめです。プロのアドバイスを受けて、自分に合った最適な方法を見つけましょう。
